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モーニング・ムーン
この星は月が沈まない。
終わらない夜に音もなく静かに浮かび上がるオーロラ
いつ見ても何と幻想的な光景なんだろうな。
ここはお前には想像もつかないような寒さだ。
どこまでも続く薄暗い景色。氷に閉ざされた凍てつく大地。
まるで今までの自分の心を写しているかのようだ。
だが、そんな場所だからこそ、人々の心は逞しく温かい。
珍しい鉱物資源と、オーロラの美しい場所として少しずつだが発展してきた若い惑星。
厳しい気象条件だが、俺はこの星が気に入っている。

あれから・・・半年経つのか。
こんなに遠い場所に居ると、今でもあの日が夢だったような気さえする。
抱いた細い肩も、ぬぐった涙も、触れた唇もすべて・・・
しかし、声を聞くことが出来た今は
幻ではなかったんだと、そう思える。
胸に優しく沁みる声。懐かしいな・・
元気そうで安心したぞ。
俺には帰る場所がある。
待っていてくれる人がいる。
・・そう思うとこの辺りが温かくなる。
熱いスープよりも、このウォッカよりも・・・
何よりも心温める
誰よりも愛しい人
この身を懸けて護りたい存在。
アンジェリーク・・・・
寒い夜はお前を瞼の中に浮かべているよ。
柔らかな微笑が、やがて穏やかな眠りへと誘う。
そして、まだ触れたことのない肌を夢に見る。
白い羽がこの体を優しく包むそんな夢を・・
得られるはずなどないと思っていた。
こんな安らかな気持ちなど、とうの昔に捨てたはずなのに
そんな自分さえも今は愛おしい・・・
愛し、愛される温かさを知ることが出来たのは
お前に逢えたお陰だ。
・・・ありがとう。
朝が来るたびお前という存在が夢ではない事に安堵してな。
可笑しなもんだ。そんなことを毎日繰り返している。
今朝は少し早く目覚めてしまった。
夜明けの月が窓に映る。不思議な蒼だ。
ここは毎日違う色の朝が来る。
何処か寂し気だが本当に幻想的な風景だ。
いつかお前にも見せてやりたいよ。
氷で出来た家。美しいオーロラ。七色に変わる月。飛べない羽を持つ動物の群れ。
きっと大きな瞳を見開いて、零れるような笑顔を見せてくれるんだろうな。
慌しい日常でも片時でも想わない時はない。
遠く離れていても
お前はこんなにも俺を温めてくれるのに
俺はお前に何を返せるだろう。
どう伝えたらいいだろう。
溢れる想いを この情熱を
アンジェリーク・・・
独りで泣いてはいないか?
この距離を悲しんで涙を流したりしないでくれ。
ありきたりな言葉しか見つからないが
いつだって俺の心はお前の傍にいるから
ずっと笑顔でいて欲しいんだ。
声を聞いただけではもどかしさは募るばかりだな。
今すぐにでもお前の笑顔が見たい。
どうか俺だけに微笑んでくれ。
叶った時、俺は両手を広げてお前のすべてを受け止めよう。
柔らかな髪を撫でて 小さなぬくもりをかき抱いて 甘い唇に触れて
胸の奥底で凍てつくものを、お前の中の熱さで溶かして欲しい・・・
いつか来るその瞬間に焦がれ、橙色に変わった月を見る。
お前が見上げる月とは違うとわかっていても
願わずにはいられない。
この光は二人を繋いでいるのだと。
明けない夜はない・・・今ならそう言える。
どんな暗闇でも、俺は心の片隅で求めていたんだ。
優しい・・だが強い、月のような光を。
たった一人しかいないお前のために
これからも俺のすべてを捧げよう。
決して離さない。
いつまでも同じ未来を歩んでいこう。
遙か遠い銀河にある暖かな春。
陽だまりのような微笑に再び辿り着くその日を
俺は強く信じている・・・
SP2後、二人が離れてから半年たってやっと、 遠い星から電話をかけられたヴィク様のモノローグです。
くわ!恥かしいーー。乙女チックオヤジ・・??汗
表にもクリスマスもので、同じようなモノローグがあります。こっちのほうが古いかな。