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キス
「よく頑張ったな」
資質が上がると、ヴィクトール様はいつもご褒美をくれた。
学習が始まった頃は、頭を撫でて。
そのうち、おでこにキスをしてくれて・・・
次には頬に。
何時からか、ヴィクトール様は私の唇にキスをするようになった。
大人で、厳しかった人が、何故こんなことをするのか。
触れるだけの口付け。
それは優しくて、時に強引で。
私を幸せな気持ちにさせてくれる。
けれど、キスの意味がわからなくて・・・
不安に眠れぬ夜を過ごした。
ヴィクトール様が好き。
でも、ヴィクトール様は?子供の私をからかっているだけ?
次の学習の日。
私は思い切って問いかけた。
何故、キスなんてするのかと・・・
ヴィクトール様は笑って答えた。
それは可愛い教え子だからと・・・
なら、彼女にも・・・
レイチェルにもしているの?
ヴィクトール様は首を振った。
"お前だけだ"
と、いだすらっ子のような顔で。
ねえ、本当の理由は何?
それとも、私を試しているの?
試すとしたら、いったい何を?
ヴィクトール様がわからない。
大人の人はみんなこうなの?
軽い気持ちでキスをするの?
抱きすくめられて、唇が降りてくる。
それは、優しくて甘いいつものキスではなかった。
ヴィクトール様の舌が、私の口の中に入ってくる。
食べられてしまうんじゃないかってほど、深く。
犯すように、私の舌を絡め取る。
体中が痺れて、胸の奥がぎゅっと痛い。
頭がぼーっとして、もう何も考えられない・・・
こんなのは知らない。
これが本物の・・・大人のキスなの?
ねえ、どうしてこんなキスするの?
キスって好きな人とするものではないの?
もがいても、どうすることも出来ない。
眩暈がして力が抜けていく。

嫌です。イヤ・・!
力なく胸を叩いたら、ヴィクトール様はやっと私を放してくれた。
傷ついたような瞳で私を見てる。
「・・・すまん」
わからない。
謝るなら、キスなんてしないで・・・。
私の想いは、もう始まってしまったのに。
もう、キスなんて、しないで下さい・・・
とても好きだった琥珀色の瞳。
悲しさに、滲んでいく。
泣く私に、ヴィクトール様は困ったように言った。
「言わないとわからないか?」
「・・えっ・・・」
「わからないのか?」
わからない。私にはわかりません。
ヴィクトール様にとって、私は可愛いだけの教え子だから。
――END――
犯罪ちっくにしたかったのに、アンジェは、鈍感な子供で
ヴィク様も、ただ不器用でガキんちょなだけになっちゃいました(笑)
まあ、こういうのもありかなと。対のヴィク様サイドは、「虜」です。
挿絵の元絵兼、別パターンで可愛いだけのお話しもあります・・宜しければ→![]()